さよなら、PKR。

■先月、2週間東北を撮影して回った。機材は、実に2年以上振りにF3を引っ張り出して使った。フィルムはもちろん、PKR。長らく冷蔵庫にしまってあった最後のストックを全部携え、みちのくの森を撮り歩いた。
■デジタル機材をメインに据えた今、なにゆえF3+PKRか。それには大きな理由があった。
■丁度メイン機材のD2Xが修理中だったという事もあるのだが、なにより「来る12月20日をもってPKRの国内現像処理受付、ついに終了」という事情が大きかった。
■つまり今回の撮影行は、PKRとの実質的な「最後のお別れ旅行」だったともいえる。
■多くの写真家にとって実に思い出深いフィルム、コダクローム。あの独特のコクのある色調や質感が、僕も大好きだった。実際のところ、僕がカラーリバーサルで本格的に写真を撮り始めてからデジタルカメラをメイン機材にするまでの10年ほどの間、使用フィルムの99%はPKRだった。
■(そもそも、僕がデジタル使用に踏み切ったのも、既存の他銘柄のポジフィルムでは、PKRの代用には到底ならないように思えたからだった)
■そのPKRの国内現像処理が、12月20日、いよいよ終わる。Kodakの本場アメリカでは12月21日以降もDwayne’sラボという現像所が世界で唯一現像処理を行うらしいが、それだって、いつまで続くものかわからない。
■デジタル全盛の時代にあって、ただでさえマイナーな存在である外式フィルムのPKRにとっては、避ける事のできない終焉だとはいえるだろう。それにしても、じつに寂しい。
■ああPKR。恥かしい言い方をすれば「僕の青春のフィルム」。
■その、僕にとってのおそらく最後となるであろうPKR撮影のスリーブが、今日、堀内カラーから返送されてきた。
■これまでだって、現像所からあがったばかりのスリーブをライトボックスにのせる瞬間はいつでも胸が高鳴ったものだ。けれど、今日は格別だ。スリーブシートをめくるたびに、胸の片隅かちりりと熱くなる。
■「たかがフィルムひとつでこんなにセンチメンタルにならなくても…」と笑われそうだが、でも、PKRに限っては、この気持ちに共感してくれる諸氏も決して少なくは無いだろう。
■果たして、その現像結果は…。ひとこと、「やっぱり、PKRは、いい!」。今回もPKRの深みやコクや色調が充分に発揮されたカットを撮影する事ができたように思う。55mmマクロとの相性の良さにも、改めて感動を覚える。
■でも、さようならだ、PKR。とても残念だけれど。たくさんの風景を焼き付けてくれて、本当にありがとう。
■思えば、奇しくもちょうどこの時期にD2Xが故障したというのも、お別れのためのお膳立てのようで、なにか因縁めいたものを感じるな。まあそれは考えすぎというものか…。