ラジオ深夜便・心の時代

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■撮影に出ているときは、朝早く起きる。今朝も3時半に起き出して、車の中で食事の準備を始めた。そのときに、僕はよくAMラジオNHK第一放送を聞いている(カーオーディオにFMもCDもカセットもついていないから仕方なく聞いていると言う事情もあるが…)。
■朝4時台は「ラジオ深夜便・心の時代」を放送している。毎回各界で様々な活動をする人物をゲストに呼んで、その取り組みについてインタビューするという内容。僕はこの番組が結構好き。
■時としてゲストの話がとても興味深く面白いことがある。そんな日は、せっかく早く起きたにも関わらず、ついラジオに夢中になって撮影に出かけられなくなってしまって困る。じつは、今朝もそうだった。コーヒーをすすりながら、1時間ばかしラジオに聞き入ってしまった。
■今朝のゲストは、NGO組織「ペシャワール会」の福本氏。中村哲医師を中心として、アフガニスタン現地での支援活動を四半世紀にわたって続けている団体のメンバーだ。
■氏は、アフガンの歴史を踏まえたうえで、現在までの医療支援、インフラ整備支援、農業支援など、会の取り組んでいる様々な活動について語るのだが、それが大変興味深く、つい引き込まれる。
■1970年代からずっと戦乱の中にあり続けてきたこの国が、一体どんな経緯でいま状況に置かれることになり、そして、今後どうなっていくことが望ましいことなのか。日本のマスコミがあまり伝えない(ちゃんと伝えようとしない)現場の生の実情を語る氏の言葉に触れ、うーん、そうだったのか…と自分の無知を反省してみたり、ああなるほど、やはりそれが大事なのだな…と思ったてみたり。
■なかでも僕が興味深く聞いたのは、会の方針である「丸腰支援」についての話だった。つまり、支援事業にあたって一切武装をせずに現場に出るという方針のこと。
■アフガンには、過去30年に渡って続いてきた武力による支配権闘争の歴史が、いまもまだ深く根を下ろしている。そして、いわゆる「9.11」後のアメリカの軍事介入以降、それは依然として収まる兆しは見えない。国内にはまだたくさんの武装組織が散在していて、様々な名目でアフガンに入ってくる「部外者」に対し銃口を向けている。
■しかし会は、そんな状況のなかにあっても、自衛のための拳銃一丁すらもたずに、たとえば農業用水灌漑工事など、現場での作業を遂行しているという。
■危険は無いのか、とのインタビュアーの問いに、福本氏は答える。
■「私たちは、安全が脅かされれば直ちに撤退するという方針は持っています。しかし、まだそうした事態に陥っていない。興味深い事例があります。我々が行っている支援、つまり、この国の人々がもともと持っている力を活かして、この国を本来の「豊かな農業国」に変えてゆこうという農業支援のインフラ整備工事の現場では、日本からのスタッフを含めて全く丸腰で作業を行っていますが、一度も武装勢力によって襲われたことはありません。」
■「しかし、アメリカ資本によるある道路整備(これは軍用道路なのですが)の現場では、民兵による厳重な武装をして自衛策を講じていたにも関わらず、5度に渡って武装勢力による拉致・殺害がありました。問題は、その作業が何のためのものなのかにあるのだと思います。」
■「ただ、状況は変わりつつあります。アフガンの人々はこれまで日本人に対して畏敬の念を抱いていました。小国でありながら、日露戦争で大国ロシアに勝ち、広島・長崎では何十万人もの犠牲を出しながら、その後産業立国をして国を建て直した。また、過去中東に対して一度も軍事的に介入してこなかったことも大きい。
■そうしたことに対して、アフガンの人々は日本を評価をしていたんです。しかし、湾岸戦争以降、日本がアメリカの後方支援を進んでするようになってから、状況が変わってきたように思います。以前は、我々が移動するときの車両には日の丸の旗を掲げていたんです。それがある種の「安全保障」になっていたんですね。でも、湾岸戦争以後は、それをできない状況になってしまいました。」
■誰のために、何をするのか。そこに込められた思いは、いったい何処に向けられたものなのか。そして、そこに「武装」が本当に必要なのか。氏は続ける。
■「とかく丸腰、非武装なんていうと、現実を省みない’理想論’だなどと言われがちですけれど…」。
■しかし、アフガンではそれが「現実」のこととして安全を生んできたわけだ。とても興味深い。
■そういえば、イラク復興支援の名目で武装した自衛隊がイラクに派遣されたときにも、氏が語るのと同様の話を聞いた覚えがある。それはもしかしたら、ペシャワール会の人が語ったことだったのかもしれない。
■やはり、生の現場に長く身を浸し、実情をよく知った人の「現実談」は、淡々としながらも実に説得力がある。
■ともあれ、だ。安全とは何なのか。翻って「不安・恐怖=テロ」とは、いったい何なのか。恐怖を作り出している張本人は一体誰であり、危機とはいったい何処からやってくるものなのか。それらのことをもう一度よく考えたほうがいいのかもしれない。
■ここで、やはり、つい書いてしまう。末筆を大いに汚すと解りながら…。
■日本でも核武装、少なくとも議論は進めたほうがいいですか?同盟国を守るため、日本も’パトリオット=愛国’ミサイル、今後もどんどん配備した方がいいですか?何をしでかすかわからない「北」に対しては、常に最大級の警戒を怠らないほうがいいですか?そのためならば、焼肉屋だろうが、子ども達が通う民族学校だろうが、バンバン強制捜査を入れたほうが、いいですか?
■ついでに、「肉まんにダンボール混ぜて近所の住民に食べさせちゃった」という未曾有の国際的大事件が先日発覚しましたが(えっと…これ、NHKラジオのメインニュースで何度も繰り返し、繰り返し、繰・り・返・し放送するくらいだから、僕ら日本国民にとって、ものスゴイ問題なんだよね、きっと?)、そんな事件を起こすような不気味な「西隣の赤い大国」の脅威から国土と資源を守るため、日本も軍隊を持ったほうがいいですか?
■やはり、もう一度このあたりのことから、よく考えたほうがいい。なぜ今、NHKニュースが「ダンボール肉まん」報道にパクッと食いついちゃたのかも含めて。そう、「年金・年金」とかき回されてばかりいるよりも、このへんのことをこそ、いま、しっかりと。
ああ、また長くなってしまった…。午後の撮影に出かけるとしようか。もちろん、丸腰で。
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写真は、ナナカマドの葉と水滴。