向き合う

以前この日記に
■要は、コミュニケーション成功の秘訣は、相手への信頼とともにまともに向き合って、誠意を尽くして聴き/話すということなのだろう。子どもたちからそうしたことをいつも教わる。森の被写体たちからも、やはりそれを教わる。
というような一文を書いた(2月26日付)
で、先日読了した「ラディカル・オーラル・ヒストリー」の著者で、若き歴史学者・保苅実さんがその著書の中で繰り返し強調していた「真摯に歴史と向き合うこと」ということばにも、いままた思いを馳せている。
保苅さんはきっと、オーストラリアの大地と真摯に向き合ってきたアボリジニの人々の生き様に触れる中で、その「真摯に向き合う」ことの意義深さを身にしみて体感されたのだろうと思う。
もし保苅さんに直接お会いすることができれば、僕はぜひその保苅さんの経験談に耳を澄ませてみたかった。僕と誕生日が4日しか違わない彼が、どのような世界の中で、どのようにそうした価値観を育んできたのか、彼のことばから直に感じ取ってみたかった。
しかし保苅さんは、6年前の5月、その著作を脱稿したわずか数日後、病の故、32歳の若さでこの世を去ってしまった。
来月、網走にある北海道立北方民族博物館で、保苅さんが取材中に撮りためた写真による写真展が行われる。その会期中の一日、あるご縁で、僕が写真ワークショップの講師をつとめさせていただくことになった。
アボリジニの人々が真摯に向き合ったオーストラリアの大地の声に、またそれに耳を澄まし続けた保苅さんの声に、写真を通じて、僕もそっと向き合ってこようと思っている。