新宿写真展・13日目

今回の写真展ではそれぞれの作品にキャプション=説明書きがついています。ただ、「説明書き」といっても、そこにはその被写体の名称と撮影地だけが表記されています。
じつは、本当はキャプションをつけるのはやめようと思っていました。なぜかというと、僕にとっては、写っているものの名前が何であるか、そしてそれがどこで撮られたかは、たいして意味を持たないからです。写っているシーンの状況説明も、今回の展示内容においては不必要かもしれないなぁと思っていました。
でも、それを初めて目にする人にとって、そこに写っているものの名前を知りたいと思うのは当然の欲求です。そして、もしそれが身近で見たことがないものであれば、それがどこで撮られたものなのかを知りたくなるのも当然のこと。何も言葉による説明が無いのは確かに不親切。
以前、キャプション全く無しの写真展をやったこともあったのですが、やはりそこでは、見ていただいた多くの方々から「これはなんていう植物ですか?どこで撮ったのですか?」との質問がよせてられました。本当に多く寄せられました。
もし今回もキャプション無しにしたら、多分そうした質問がやたらと多くなると思ったので、最初からキャプションに被写体の名前と撮影地を記載するようにしたのです。
でも、あるキャプションにおいて「記載された蝶の種名が間違っている」との指摘がありました。複数の方にご指摘いただいたので、明らかに僕が間違えて記載してしまったのでしょう。僕の不注意でした。展示を見ていただいた方には大変失礼いたしました。この場をかりてお詫びいたします。
さて、「これは何?どこで?」という質問がほとんど無かった代わりに、今回の展示で一番多く寄せられた質問は何だったかというと、それはもうダントツに「これはデジタル写真ですか?」という質問です。
特に、ご自身で写真を撮られるという方のほとんどがまずそのことを質問されます。今回の展示はデジタル撮影プリントに交じりフィルム撮影のプリントもありましたので、写真展が始まった最初のうちは「フィルム作品も数枚混ざっているのですが、どれがフィルムでどれがデジタルか分かりますか?」なんてちょっと意地悪い質問をこちらから返したりして、それなりに対応していました。
しかし、最終日も間近になり、じつはこれは切実な問題で、決して喜んで対応してなどいられないことに気づきました。
僕にとって「被写体の名前が何であり、それがどこで撮られたのか」ということがあまり意味を持たないのと同様に、それがデジタル行程の作品か、それともアナログ(銀塩)行程の作品かということは(あくまでも僕にとっては、ですが…)大した意味をもっていません。
しかし、作品を観ていただいた方々からは「これはデジタルか?」との質問がまず寄せられる。これはつまり、僕の一連の作品が、そういう極めて瑣末なことを突き抜けてゆくだけの「作品としての強さ・完成度」を持っていないということなのです。見る方々をグイと作品の中に引きずり込むだけの「力」をもっていないということなのです。これは、今回の展示で痛烈に実感させられたことでした。
いつか「デジタルか、アナログか」なんていう表層的でつまらないことを乗り越えられるだけの強い作品群をつむぎ上げることができるだろうか…。今後の課題が見えた気がします。
そういう意味でも、やはり、個展をするということは意味のあることだと思います。
で、そうした思いを信頼する知人に話したら「焦って”強さ”や”力”を求めてはだめだよ。それはただの”効果狙い”になるから。君はね、時間がかかる人なんだから、地道に撮り続けるしかないよ」と言われました。
やはり「地道」しかないですね…。