新聞

■9月23日北海道新聞朝刊国際面。ロンドン発のレポート記事「戦禍よそに”死の商売”―英国で世界最大級兵器見本市」が良かった。
■例えばアメリカやイスラエルのやり方を見せ付けられるなかで、世界各地の市民の間には「戦争」という暴力的政治手法そのものに対する批判が高まってきている。しかし悲しいことに、戦争を根底から支える「死の商人」達の活動は依然として盛んだ。それを批判的観点からレポートしたのがこの記事だ。
■記事中で僕が感心したのは、大手日系企業がその見本市に参入していることを、会社ロゴがばっちり写った写真付きで実名報道していたことだった。ちなみに、記者自身の署名記事でもある。
■その企業は「富士通サービス(英国)」。会場の一等地にブースを構え、「(富士通は)軍を支援します」というポスターを掲げていたという。記事によれば、富士通サービス側は「わが社の製品は情報システムであり、武器そのものではない」と強調しているらしいが、実際に武装車両の見本が居並び、ミサイル、小銃、戦闘機のバイヤーがたむろする会場にブースを構えるということが何を意味するのかは、専門家の解説を待たずとも自ずとわかる。
■そうした日系企業の「軍需商売」への関与を、相手が国内大手企業の関連会社であろうとも実名で批判的に伝えるという姿勢が、良かった。新聞が、大口の広告主でもあるかもしれない大手企業・富士通に、ある意味でケンカを売るようなものだからだ。
■しかし、そもそも新聞のつとめはそこにこそあるはずだ。相手が広告主であろうと、財界有力者であろうと、警察権力であろうと、新聞はそうした「力あるものたち」に対して、必要に応じ、「市民に知られざる事実を伝える」という信念に基づいて果敢にケンカを売りつづけなければならない。僕はつい「感心した」などと書いてしまったけれど、これはそもそも、新聞としてあたり前のことなのだ。
■軍需産業への日本企業の関与を批判的に論じるのであれば、富士通1社の名をあげたところでそれは「焼け石に水」ではある。旧財閥系の重化学工業会社をはじめとして「死の商売」に関わることで儲けをあげている企業が他にいくらでもあることは、僕ら一般市民にだって容易に想像がつく。
■それを思うと、今回の突っ込みはまだまだ甘い。(道新に限らず、マスコミって、例えばイランや北朝鮮に関係する軍事技術流通のことは「すわ一大事!」と大騒ぎするのにね。変だよなぁ…)。いっそのこと、北海道新聞にはこれをシリーズ化し、軍事と商業主義のタブーそのものを果敢に暴きだす特集にまで高めてもらいたい。
■一方で、「そりゃ、まず無理だろう…」とも思う。それがマスメディアですいすいとできるのであれば、それこそ日本はすぐにでも「真の構造改革」を果たしてしまう。それくらいいまの世の中、全てが「商業主義」に毒されている。
■しかし、そうした「無理じゃないの…」と言いたくなるところに敢えて大なり小なりの突っ込みを入れる精神が、いまのジャーナリズムには絶対的に必要とされていると思う。いや、ジャーナリズムだけじゃなく、マスコミュニケーション全体、そして、市民の在り様にしてもまた然りだ。
(論点は少しずれるが、例えば、繁栄の絶頂にある者は総動員でチヤホヤとはやし立てて人気を煽り、それに便乗し、いざ不祥事だ!疑惑だ!で落ち目・弱体となれば、さっと手のひらを返して総動員で叩けるだけ叩く。いじめるだけイジメる。そうした大人気ないやりかたは、ほんと、もう止めたほうがいい。本年9月12日をもってして。子どもの教育に、本当に良くない。)
■過去において、権力の権化・北海道警察の不正に勇猛果敢に突っ込みをいれた(あとで尻込みしちゃったけど…)北海道新聞には、今後も期待したい。僕らは、知らない事・知らされていない事が多すぎる。もっともっと、世界を知らせて欲しい。
■しかし、テレビでは無理だろうな…。たとえ企業スポンサーの縛りの無いNHKだろうと、現状では99%、無理。ダンボール肉まんに喜んで飛びつき、挙句の果てに右往左往している体たらくでは…。
■付け足し。日本の僕らが知らないこと、いや、敢えて知らされないようになっている事柄に触れることが出来るメディアのひとつに、ドキュメンタリー映画がある。そのなかでも、昨日の日記にも書いたが、2006年完成の映画「ウリハッキョ」は、観る価値の高い映画。チャンスがあれば、ぜひ。