映画「沈まぬ太陽」

■昨日はカミさんの仕事が休みで、また僕も彼女も帯広に行く用事があったので、その用事の合間に映画を見た。
■「合間に見る」映画としては長ーい映画、「沈まぬ太陽」。途中10分の休憩を挟んで3時間20分。
→以下はちょっとネタバレあるかもしれませんので、クリックしてから。あまり良い評価をしていない、というか、雑感のうち負の面をことさら強調して書いたので、まだ観てない方、観るのを楽しみにされている方は読まない方がいいかも。


■原作は読んでいないが、話題作だったしテーマにも関心が高かったので期待して観た。ただ、その期待感の高さ故か、見終わって、僕は「今ひとつ…」の評価。
■気になったのが、多額のお金をかけているはずなのに、全編に漂う安っぽさ感。それは、演出の安っぽさ、BGMの安っぽさ。ずらりと揃えた名優たちのそれぞれの演技はすばらしいものが多かったのに…。
■肝心の映像についても、映画スクリーンサイズで見せるような撮り方ではないなぁ…と冒頭から疑問符。途中から慣れてはきたけれど。
■特に演出については、「こういう演出は、民放テレビドラマでやってほしいなぁ。でも、テレビだったら絶対もっとうまくやるよなぁ…」と、いくつものシーンで気持ちがすっかり萎えてしまった。
■個人的にテーマや主人公への共感の気持ちがあるから、作中のドラマにその気持ちをグッとのせていきたい、と思っているのだけれど、不意にすこーんと肩すかしを食らわせられるんです…。演出する側が「ここでグッとのせてやろう!」と考えているであろうことがありありと分かる演出だけに、逆に鼻が白んでしまう。
■特にエンディングは、ちょっとまってくれー、そんなんで終わっていいのー?という感じでした。「”沈まぬ太陽”って、それだけの意味かー?もう一つ二つ、意味があるんじゃないのか?それについては置いてけぼりでいいの?」と(原作でもそうなのかなぁ…)。
■「泣いたー!笑ったー!驚いたー!」と、スカッとした爽快感が残るでもなく、はたまた「重たい宿題を投げかけられた…」という濃厚な後味があるわけでもなく、なんとも形容し難い、空虚な気持ち。映画を楽しめた!観てよかった!とは、言い難い。
■見終わった後、なんだか無性に『たそがれ清兵衛』を観たくなってしまった。
(同じくサラリーマンの生き様を描く映画(?)だが、しかしあの名画「たそがれ…」の中でも特に、田中泯が娘の遺骨を食べて独りごつシーンは、映像も、シーンの意味合いの濃さも、そのイメージまるごとがいまでも脳裏に焼き付いて離れない。悪いけれど、今回「沈まぬ太陽」全編から得た印象は、もう7年前に観た「たそがれ…」のあのたったワンシーンが残す印象を越えるものではなかった)
■ただ、最後に弁護しておくと、じわりと感動させられるシーン、むむむと考えさせられるシーンはいくつもちりばめられていました。”悪い映画”ではないと思います。