最近いろいろ

■15~16日
新得空想の森映画祭に参加。12回目の今年も、変わらぬ柔らかな雰囲気。久しぶりの友人達と楽しいひと時。また、ゲストの方々(映画作家、ミュージシャン)と新しい出会いも。いま話題の映画「ウリハッキョ」は、間違いなく今年の必見映画。
■18日
小樽市の小学校で講演会。3学年ずつ、午前と午後で講演。ここでもまたPTAの方のなみなみならぬ尽力に感謝。Kさん、ありがとうございます。
夜は子供の本関係のTさんと札幌市内で食事。美味いパスタとワインで調子が上がり、Tさん宅で2次会に。サシでワインを飲みながらいろいろおしゃべり。話題は児童文学から山の民・山間文化のことまで多岐にわたり、愉快。しかし、朝5時までは、飲みすぎか…。
■19日
昼に起き、札幌市内へ。所属する団体事務所で販売品の清算と集金。その後、世話になっている出版社ナチュラリーへ相談ごとに。自然グラフ雑誌「ファウラ」の次号の特集について歓談も。なんたってそのタイトルが「ブラキストン線」ですもの。はっきり言って、じつにマニアック。こんな特集を果敢に組んでしまう「ファウラ」編集部に、こころから敬意(笑)。
夕方、長沼の作家Kさん、Tさん夫妻を訪ねる。知人のHさんも一緒に美味しい野菜と青森の日本酒に舌鼓。宿泊も世話になるので、時間を気にすることなく心行くまでおしゃべりを楽しんだ。Kさんとは以前からゆっくり話したいと思っていたので、良かった。絵本のこと、創作のこと、子育てのこと、戦争のこと…。
■20日
Kさん宅で起床。Kさん夫妻と一緒に家の周りでキノコ採り。ヤナギタケをたくさんとって、味噌汁の具にしていただいた。幸せな朝食。
その後、Kさんご夫妻と共に札幌市内へ。前日より始まった書家・絵本作家の乾千恵さんの個展会場へ。残念ながら千恵さんは他の場所へ外出中で会えず。
Kさん夫妻と別れ、市内のラジオ局へ。ディレクターFさん、DJ・Kさん、イラストレーターのMさんと久々に会う。近くのパスタ屋で食事をしながら近況や、進行中の企画のことなど、いろいろ歓談。
先日行われたKさんMさんのコラボレーション展示企画が大成功だったようで、ぜひそれを帯広でもやりたいなぁと思う。また、Fさんが進める企画にも興味津々。特に「F」がキーワードの企画は、個人的にもぜひ関わりたい。いま僕のなかでは「F」がヒットだ。全容は、FさんのGoサインが出たら公開。
札幌を後にし、自宅へ向け車を走らせる。途中携帯がなる。帯広の友人のAさんより。さっき訪ねた乾千恵さんの個展会場からだとういう。Aさんと千恵さんは友人なのだ。で、個展会場の芳名帳で僕の名前を見て、電話をくれた。いま千恵さんと一緒にいるという。
千恵さんとは、僕自身はまだ面識がないのだが、Aさん以外にも共通の知人が多いこともあり、ぜひ会いたいと思っていた。で、おおラッキー!と喜んだのだけれど、Aさんの携帯が不意に電池切れ。千恵さんとの初顔合わせはしばらく先のことになった。
携帯に出るために車を停めたついでに、ふと思い立って針路変更し、由仁町のIさんを訪ねる。Iさんは、あるドキュメンタリ映画取材で出会った女性。終戦直後、満州で起きた痛ましい「開拓団集団自決」事件の証言者だ。
当時20代の若き教員だったIさんが語る、幼い教え子達の無残な死のようすを聞くたびに、僕は本当に胸が苦しくなる。そして、引き上げ後、由仁町で実直に農業を続けながら、常に教え子達の無念の死を思いつづけるIさんの生き様にも、胸が熱くなる。
Iさんと会うたび、僕は、やはりあの戦争は終わってなどいないのだと思わずにはいられない。そして、その痛みを引きずりながらも、世界はなおも戦争をやめようとはしない。止めるどころか、「力」を持った人間達はいまこのときも、新しい戦争を始めようと着々と準備を進めている。僕らは、それを見て、知っている。
Iさんと会うと、そうした僕らの「いま現在の立ち姿」が、巡り巡ってこの華奢なIさんの身心に、さらにずしりと重たい重荷を負わせているのだという事実に、リアルに気付く。
高齢のIさんの身体も気になる。ご主人が長く入院されていて、Iさんは家に一人。華奢な身体で農作業を続けている。骨折したり腰を痛めたり、といった近況を聞いていたので心配していたが、訪ねると、とても元気そうな様子でホッとした。
Iさんの作った美味しいトマトとトウキビをご馳走になりながら、夕方まで二人でおしゃべりをした。そして、決して広いとはいえないIさん宅の居間で、押し売り同然に僕がお見せした「森の写真スライド上映会」を見ながら、Iさんは「これ、何度も見たいね。子供たちにも、何度もみせたいね」と、ニコニコと喜んでくれた。僕も嬉しかった。
■22日
午前、近所に借りている写真保管場所で、10/1からの函館写真展の準備。午後、家に戻ってメールをみると、いつもお世話になっている元学校長Wさんから一通の訃報が届いていた。それは、やはり僕が大変お世話になった元校長T先生が昨夜亡くなった、というものだった。
数年前、T先生には何度も「うちの学校の子供達に森のお話をきかせてあげて欲しい」と講演を企画してもらっていた。そして、そういうT先生こそが、拙い僕の話を他の誰よりも真っ直ぐに、心で聞いてくれていた。こんなに素敵な目をした管理職がいるのだ!と、T先生と会うたびに僕はいつも思っていた。
先生の退職後はしばらくご無沙汰していたが、昨年「森のいのちを20部ほど送って欲しいのだけれど…」と直接お電話を頂いた。その時、出会った頃の先生とはまるで別人の、ずいぶんと張りのないお声にとても驚いたのを覚えている。今思えば、きっとあの時点で、かなり体調は悪かったに違いない…。
あのときT先生が「森のいのち」をどのような気持ちでご用命くださったのか、それを思うと、なにか胸の奥がツンと痛くなる。そして、T先生との出会いの意味をよく噛み締めながら生きていこうと、いま強く思っている。