有江活子

■NHKのアナウンサーに有江活子さんという人がいる。
■ときおりAMラジオで有江さんが司会を務める番組を聴くのだが、その落ち着いて穏やかな口調やユーモアセンスの中に、しゃんとした清々しさや潔さをいつも感じて、「このひと、カッコいいなぁ…」と思いながら聴いている。
■少し前のことだが、『タバコが1,000円になったらどうしますか?』というテーマで組まれたある番組を聴いていて、その中での有江さんのひとことに思わず膝を叩いてしまったことがあった。
■喫煙のリスクや、若い女性の喫煙率の増加が話題にされていたときのこと。番組に「ご意見番」として参加してるらしい初老男性某氏が、女性に関わる喫煙リスク(不妊や出生幼児の発育障害など)についての専門家の談話を聞いた後で、「うーん、女性には気をつけてもらわなきゃ、困りますねぇ」などとボヤいた。
■その「男性然・大人然」とした物言いに潜む胡散臭さに、僕はとっさに違和感を感じた。
■それに対し、有江さんの対応はじつに素早かった。
■間髪いれず「それは男性も同じですけど。」とピシャリ。その即妙な対応と、じつに冷静かつき然とした口ぶりに、僕はカーラジオに向かって思わず「いいぞ、有江!よくぞ言ってくれた!」とエールをあげてしまったのだった。
■ま、これしきのことは、じつに些細なやり取りかもしれない。実際、この一言があったからといって、トーク内容にザワついた波風が立つわけでなく、そのあともラジオの番組はじつに和やかに進んでいった。
■でも僕は考える。些細かもしれないが、でも果たして、こうしたやりとりをできる放送メディアアナウンサーが、一体ほかにどれくらいいるのかなぁ、と。
■とかく女性という存在、特に映像メディアの表舞台に登場する女性が”添え物”またはほとんど”芸者”扱いしかされないような状況にあって、さて、この一言を、生放送のなかでこれだけ冷静かつ即座に口にできる人って、いるだろうか。
■社会構造や組織体の理屈に強いられるがままに、「あはは、そうですねー!気をつけないといけないですね!」などとオジサン的価値観に迎合させられることなく、はっきりと、でも嫌味なく「否は否!」を口にできるアナウンサーって、ほかにいるだろうか…。
■こんなふうに、有江活子という人が時折垣間見せる「背筋の真っ直ぐさ」に触れるのが、僕には楽しみだ。
■ラジオアナウンサーのことをよく「ラジオ・パーソナリティ」などというけれど、有江さんの放送には、まさに彼女のパーソナリティ(個性・人柄)が透けて見えるようで、面白い。
■できれば有江さんには、彼女なりの感性とことばで、世のオジサン的価値観のだらしなさをいさめると同時に、有江さんが属している某公共放送の組織体としてのだらしなさにも、時折は放送内で”ピシャリ”と冷や水を浴びせてくれたらいいのになぁ…と思う。