行進

■十勝に越してきて以来、時折、小中学校の卒業アルバム用の写真撮影の仕事を手伝う。
■数年前の初夏、はじめてある中学校の体育祭の写真を撮影したときのこと。
■生徒たちが入場行進するのを観て、生徒たちの様子に違和感を覚えた。
■彼らは、何列、何行といった整列はせず、列というよりは「細長い群れ」を任意に組んで歩いている。
■足並みや歩調もそれぞれ個々でバラバラ。ニコニコと笑みを浮かべながら、中には横を向いてぺちゃくちゃ談笑しながら歩いている生徒もいる。
■僕は、なんだこれは…と違和感を覚えた。一体これが「行進」と呼べるのか?
■「僕らが中学生だった頃は、もっとちゃんと行進していたぞ。最近の中学生はなんとだらしない。
■隊列は縦横ともに整然と組まれ、ちゃんと前を見据えながら、手の振りは大きく、足も大きく振り上げて、行進曲のイチ、二、イチ、二のリズムにピタリと合わせて歩いていた。
■おしゃべりどころか、笑うことすらも許されないような緊張感を持ちながら、だれもはみ出ることがなく、一人も規律を乱すことなく、皆が一糸乱れず全く同じ振る舞いをすることこそが最高だった。
■そして、朝礼台の上に立つ校長先生の前を通過するときには、特に緊張して手と足を余計に高く振り上げ、ザッザッザッと靴音も高く…」
■――と、ここまで一気に思い起こしたところで、ようやく気づく。自分の中に見事に染み付いてしまっているものに。
■朗らかで平和な体育祭の一日のはじまり。自らの学び舎の庭を、実に楽しそうな様子で入場してくる生徒たち。
■それをレンズ越しに見つめながら、僕は一人、どうにも情けない思いで我が身を省みるのだった。