辺見庸

■いまラジオでNHK教育テレビの放送内容を聞いていた。作家・辺見庸の特集。
■辺見氏のことばがいくつか心に残ったので書き残しておく。
「ぼくが話したいのは、マチエール(手触り感)のこと。ことばのマチエールのこと。」
「カミュは『ペスト』のなかで登場人物にこういわせている。”ペストと戦う唯一の方法は,誠実さということです”。その汎用的なことばに、そうだよねぇ、と思う。」
「この時代に自覚的な”孤”であること。」
「(特派員時代に記事を配信するために)ベトナムの国境付近で1本の電話回線を何時間も待っていたことがあった。結局自分の番が回ってきたときに停電してしまったのだけれど。そのときに、待っているあいだじゅう何をしていたかというと、白い壁を這うヤモリを見ていた。オスがメスを追いかけていたのだけれど(…中略…)、凄い発見だった。そのとき、暑くて時間は溶けていた。ああ、これが”時間”だな、と思ったね。」
「社会に絶望はある。一番怖いのは、絶望に慣れてしまうこと。その(絶望に慣れることを恐れる)感性を失いたくないね。」
「(脳内出血の後遺症のリハビリで)階段の上り下りを何年も繰り返している。でも、それを繰り返したからといって今よりよくなるということはない。そんな徒労と思えることを繰り返していると、チェッ…となるね。でも、徒労を知り、”徒労”を窓口にして世の中を見つめられるということも、悪くないね。」
■番組を途中から見始めた(聞き始めた)ので、前半部を逃したのが残念。気になったことばも、ここに挙げた以外にももっとたくさんある。またこんど、氏の著作でも紐解いてみよう。
■いま母と、それらのことばを基点とし、いろいろお喋りをしているところ。じつはいま、神奈川にいます。