長女の部屋

■5歳の長女が自分の部屋をもった。
■とはいっても、僕や妻が空き部屋を彼女専用にあてがってやったわけではない。彼女が自分で部屋を”作った”のだ。もちろんそれとても僕らが「ほら、作ってごらん」と指図したわけでは一切ない。
■家族4人で寝ている寝室の片隅の1.5㎡程度の空間を、次女がついこのあいだまで使っていたベビーベッドの柵状フレームで囲い込み、そこに座布団を敷き詰めただけの、きわめて簡易なつくりの「お部屋」。
■しかし、その部屋に対する本人のこだわりようはなかなかのものだ。
■その部屋にはいっぱしに書庫もある(…といっても、タンスと壁の間に空いた10センチほどの隙間なのだが…)。そこにお気に入りの絵本を数冊ギチギチと押し込んで悦に入っている。
■洋服ダンスを導入するかどうかはまだ決めかねているようだが、お気に入りの服だけは、きっちりと四角くたたんで枕もとに常備している。
■お宝金庫だってある。キラキラビーズやお気に入りのピンクの髪留めなどをお菓子の空箱に押し込み、「これはだれもさわっちゃダメなんだからね!」と念を押す事も忘れない。
■今夜も彼女は、それらたくさんの大切なモノや、おばあちゃんからもらった大事なクマチャン人形たちにぎっちりと囲まれて、じつに窮屈そうな姿勢で、しかし、じつに満ち足りた寝顔を浮かべながら、静かな眠りについている。
■きっと明日になれば、彼女の部屋にはまたさらに、ちょっとしたリノベーションやデコレーションが施されるに違いない。
■わずか1.5平米足らずの狭苦しい空間の中で、彼女の「わたしの世界」が今ぐんぐんと膨らんでいく。その様子を、妻といっしょにクスクスと笑いながら見守るのが、ここ1週間ほどの僕の密かな楽しみだ。
■一緒の布団で寝てくれなくなったのは、正直、ちょっと寂しい気もする。でも、それにも増して「ヒトの親になるということは、かくも楽しいことだったのだな―」としみじみ感ずる、今日この頃。
■どうぞ彼女の小さな部屋が、これからもどんどん素敵に膨らんでいきますように。