不定期日記

いっしょだよ

東京にいます。地下鉄の中でひたすら科学者中村桂子さん(先日の投稿で少し紹介した、JT生命誌研究館々長)に関係する本を読み、そのことばに深く頷いています。
かなり長い引用になりますが、自然界の生きものたちのありようや多様性について中村さんが話されたことばを、社会学者鶴見和子さんとの対談録から抜粋し以下に紹介します。
「中村:
 それぞれがそれぞれの特徴を持って、そして思い切り生きている状況が自然生態系をつくってきたわけです。
 ここには、どれがよいとか悪いとかいう判断はありません。生物界は、だから続いてこられたのだと思うのです。
 生物の世界を見ていて、一番すごいと思うのは、やはりこれほど長い間続いてきたことです。三十八億年ほど前に生きものの起源があって、そこからさまざまなものが生じてきたわけで、多様化しつつ続いてきました。
〈中略〉
 では、なぜ続いてこられたかと考えると、それぞれがそれぞれの能力をフルに活かしてきたからでしょう。どれか一つだけになったり、どれかが威張ったりするのでなく、全体として一つの生態系をつくってきたからこそ続いてこられた。
 どれがよいとか悪いとかいわないところがみそです。」
引用元:『鶴見和子対話まんだら/中村桂子の巻・四十億年の私の「生命」〜生命誌と内発的発展論』藤原書店