不定期日記

銭湯

わがまち芽室町には、中心市街地に公衆浴場がある。
十勝地方が誇る、「美人の湯」として名高いモール温泉のお湯が気持ち良い。
ただ、町の主要幹線道路に面したその建物の佇まいは、
「ひなびた」と形容できるような風情とは無縁の、至って現代風な建築だ。
かと言って、「スーパー◯◯」と名付くような大々的な規模ではなく、
比較的こじんまりとしていて、利用のされ方としても、
地域の人たちが日常的に使う湯として親しまれている。
ぼくは時々迷う。
この浴場を呼び表すのに適当な一般呼称は、
「温泉」なのか「公衆浴場」なのか、
それとも「銭湯」なのか。
電話帳(タウンページ)上では、
この施設は「温泉浴場」の項に記載されており、
(この)書類上は「銭湯」として取り扱われているわけではない。
何か、この呼び方に関して、タウンページ上で問題になること、
もしくは公的に「銭湯」と呼んではいけない事情があるのだろうかーー。
いや。我ながら、バカバカしい。
呼び方が違うからといって、それがなんだと言うのだ。
いずれの呼び表し方をしようとも、
この施設には温かな湯がいつでも懇々と湧いており、
そこに集う人たちは、年寄りも、子どもも、その母さん・父さんたちも、
疲れを癒したり、冷えた体を暖めたり、汚れを清めたり、時には病を癒したり、
つまりは、その日1日の終わりに少し幸せになるためにこの場所へやって来る。
そのことに勝る事実はない。
「せんとう」だろうが「せんとう」じゃなかろうが、
その呼び方が、その場所が幸せな場所であるという事実を変えることはないのである。
・・・・・・・
芽室からも、また、永田町1丁目からも
海と大陸を隔てて遠く離れた「彼の地」については、どうだろう。
そこに遣わされた若者たちにとっては、どうだろう。
そこはどんな場所なのだろう。
彼らはなぜそこへ行くのだろう。
その場所には、どんな「事実」があるのだろう。
ネクタイとバッチを付けた年寄りたちは、そこへは行かない。
5月からは、帯広第5旅団の若者たちがそこへ行く。