不定期日記

探しに出かけよう

今日は帯広の森・はぐくーむを会場に写真絵本作りワークショップでした!
幼児からベテラン世代の大人まで、実にさまざまな年齢層の方々にお集まりいただき、
和気あいあいの雰囲気の中で森の写真絵本作りを楽しみました。
今日もまた、本当に素晴らしい作品、素晴らしい作者の皆さんに出会えた一日となりました。
プログラムの流れはいつものとおり。
午前中はまず簡単なレクチャー。
「どんな写真絵本を作るのか」や「写真絵本を作るには、どんな準備や作業が必要なのか」とか
「日常的に撮っている写真よりも、より“絵本という作品によく資する”ような写真を撮るためには
どんな工夫をしたらいいのか」などなどを、ちょっとだけ部屋の中で勉強します。
このレクチャータイム、
早く絵本作りを始めたい子どもたちにとっては、少〜し退屈な時間かもしれません。
僕も、その気持ちはわかります。
今日はせっかく「カメラを自分の自由に使い倒せる日」だもの、
早く外に出て思いっきり好きなように写真を撮りたいよね。
でも我慢我慢。この時間、意外に大事なんです。
「写真をとることを楽しむ」というだけなら、
デジカメのような「たいへん便利なデジタル機器」を使うわけですから、
ある程度その機械に任せていれば、誰でもボタンひとつでそこそこキレイな写真は撮れます。
そういう時代です。
良くできた機械が、良くできた仕組みに基づいて、
ちゃんとユーザーを「(ある程度)嬉しい結果」へと導いてくれます。
でも、絵本という、
自分の「思い」や「意図」を表現するための伝達媒体を自分らしく創作するためには、
便利なデジタル機械にただ依存し、
それが提供してくれるものにお任せしているだけではダメなんですね。
機械というものは、それが便利であればあるほど、それに「使われて」しまったら、
特にこういうアクティビティの場合には、ちょっと“残念”です。
あくまでも、“自分が目指すことのため”に“自分が機械を使う”ってことが大事かなと思います。
なので、行動の目的やその行程を一度しっかり確認するためのレクチャーは欠かせません。
さて、レクチャーが終わったら、いよいよ被写体探しへGO!です。
デジカメ片手に、絵本の主人公となりそうな何かを見つけるために、
参加者それぞれ思い思いに外を歩き回ります。
親子で声を掛け合いながら、または一人で黙々と、
帯広の森の中に潜む「何か」を探して歩きます。
さあ、いい被写体をたくさんゲットできるかな?
でも、決してデジカメそのものは、その被写体がどこに潜んでいるかなんて教えてくれません。
当たり前ですね。
自分の足の赴くまま森を進み、自分の眼で見渡す広い世界の中に、
自分の心がピクリと動く何者かを見出した時に初めて、その「何者か」はようやく、
自分の物語の一部となるべき「価値ある獲物」となるのですから。
いつもだったら、さっさと歩いて通り過ぎてしまうようなありきたりな風景かもしれません。
でも、今日は違います。絵本作りという活動(アクティビティ)を楽しいものとし、
自分にとって意義あるものとするためには、
そのありきたりな風景の中に価値ある何かを見出さなければなりません。
いや、「…ねばならない」などと書くと、どうも重苦しい義務感が漂ってしまいますが、
しかし実際には、その価値は、楽しみ・喜びとともに風景の中にいくつもいくつも見出されてゆくのです。
そのように世界の中に「何か」を見出させ、そこに価値を付加せしめているのは、
言うまでもなく、あくまでも撮影者自身の感覚・眼差であり、自発的な創作意志です。
決して、このアクティビティを設計した僕がそれを周到に準備しているわけではなく、
または、便利なデジカメやそのシステムがその「何か」のありかや価値の高さを
自動的に提示してくれているわけではないのです。
そこをあやふやにしては、この活動をやるそもそもの意味がなくなっちゃうのです。
で、今日もまた、それぞれに自らの感性と意志でたくさんの「価値ある獲物」を獲得した皆さん、
とにかく、かっこよかったですよ!
(これはもう、写真の上手い下手とか、立派な絵本が出来たか出来なかったかとはまた次元の違う話です)
ほんと、たかだか1時間程度の撮影時間のうちに参加者の皆さんが見せる
眼差し、たたずまい、身のこなしのステキさに、僕はいつも小さな感動を覚えるのです。
「何かないか…」と世界を見渡し、「お!これだ!撮ってみる!」となってからシャッターを切るまでの、
ピリッと走る小さな緊張感。
もう、なんだか、小さな人も大きな人も、いっぱしの「探求者」の雰囲気さえたたえています。
今日は、出来上がった作品も本当に感動モノが多くステキなワークショップとなりましたが、
成果品だけでなく、その制作過程の雰囲気もとてもステキでした。
様々な年齢層の方が参加してくださったからなおさら「それぞれのやり方」が表に現れ出てきたのでしょうかね。
良い一日でした。
講師である僕にとっても、とてもステキなものと出会えたような、そんな気分の一日でした。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!