(写真は結構古いものですが…)
雪
地を覆いつくすこの雪は、
天が、地にある全てのものへと差し向ける鏡である。
だから、
ときどきは、雪をじっと覗き込んでみるといい。
ただし、この鏡にあっては、その中で、
億万の片々が、億万通りのやり方で、
億万の光線をてんでばらばらに交錯させるので、
そこには、何らの確たる像も景色も結ばれることはない。
地にあるわたしたちが
この鏡の中に見出しうるもの、それは、
わたしたちには光が与えられている、という、
ごくささやかな事実くらいなものである。
だから、
ときどきは、雪をじっと覗き込んでみるといい。