さっきからぼくの目の前に
小さな小さなハエがいます。
わずか3mmほどの
本当に小さなその躰は
透き通るような緑碧色に煌めいて、
ああ、なんと美しいのでしょうか。
(いま手元にあるiPadなどでは
到底十分に写しようもないのですが…)
ぼくはハエに向かい、
小さな声で訊ねました。
「おまえのその躰は
一体何のために
こんなにも美しくできているのだい?」
すると、
ハエはぼくに向かい、
小さな声で訊ね返しました。
「おまえのその眼は
一体何のために
このおれの躰が美しいと感じるように
できているのだい?」
その声は、
耳を澄ましても聞こえないような
本当に小さな声でした。