不定期日記

ひも付け、誤解。

「マイナンバーと口座ひも付け 政府は義務化急ぐ」

さあ、どんどん“便利”で“高効率”になっていきます。デジタル化、ひも付け、個人の特定、そして諸々の義務化。そのもとで美しく花開いてゆくスーパーでスマートなアーバンライフ。その名も〈Society5.0〉。コロナの先に、明るい未来の到来です。余計なものや無駄なものには、もう“あなたの手で接触しなくても”いいのです。

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産経新聞はこう書きます。

「マイナンバー制度の不備が浮き彫りになっている。マイナンバーと預貯金口座のひも付けが義務化されていないのが一因だ。」

そして、〈ひも付けないのが悪い〉という論点のみに読者の意識をフォーカスさせてゆきます。

その「ひも付け不十分」が、今回の給付金発給のわけのわからぬもたつきにとっては一因でこそあれ決して「主因」ではありえないことに、多くの市民にはすでに気づいてしまっているのではないでしょうか。

でも、ここでもやはり、聞き覚えのあるあの表現が市民に向けて発せられるのです。

「物事が上手くいかない理由は、みなさん方が“誤解”しているからなんですよ」。

産経新聞は、読者をどこへ連れて行こうとしているのでしょうか。

表現物の「フォーカスの位置」は、伝える側が決めています。自戒と軽い覚悟を込めて。

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それにしてもいまの世の中、一つの「失策」や「お粗末」をあたかも“糧”にするかのように、先の別の「失策」や「お粗末」が体良く糊塗され、なりふり構わず先へ先へと進められて行くものなのだなぁ、と感じます。

立ち止まらない、振り返らない、省みようとしない。迷いの分岐点に立ち戻ってその時の判断を正そうとしない。(だから「過去の記録など正確に残しておく必要はない。はい、次。」)

そして、ぼくらの暮らしはより「スーパー」なものになっていく。5G通信でテレワーク化がどんなに進もうとも、リニア新幹線は暗いトンネルのなかを猛スピードで突き進んでいく。その“トンネル”の入り口と出口には、どんな顔して、誰がいる?

さあ、ぼくはぼくで手で土を掘り、庭に野菜の種を蒔こう。根が生え、双葉が出れば、なんとかなる。


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