今、安倍総理大臣の会見を聞いているけど、決定的にわかることがある。
「我が国の総理大臣には、他者から尋ねられたことに十分に応える能力もしくは意志が全く足りていない」。
会見の中で首相は、緊急事態宣言を延長せざるをえなかったことに対し政府として責任を感じている、と言う。
しかし、記者からの「では、宣言を延長せざるを得なくなった”原因”は何だと考えているのか?」と言う至極シンプルな質問に対し、首相は、これまでの施策や対応を分析するでも省察するでもなく、ただ「政府はあれもやったしこれもやった。それに国民の皆様が協力してくれたおかげで、外出削減は結構いい線いった」とだけ答えた。
全く聞かれたことに答えていない。ひどいものだ。
それに対し「聞かれたことに答えていないではないか」と食い下がらない記者も記者だし、「それでは、次の方」と質疑の進行をさっさと進めてしまう司会者も司会者だ。まったくひどい記者会見だ。我々は一体何を見せられて(きかされて)いるのだろう。
ただ、やはり最も根本的な問題は安倍首相自身にあると言わざるを得ない。
それが個人の生来の資質・気質に基づいているのか、それとも、自身の職責や社会的役割を果たす上で身に備えた「癖」、もしくはある種の「技」なのかはわからない。
でも、かなりの深刻さで、明らかに《我が国の首相は、人の話に耳を傾けてそれに的確に答え・応えることができない》。
そのことに改めて驚かされている。いったい、何がこれを許しているのだろう。
コロナウィルスという「外側の脅威」に意識を集中せざるを得ない昨今ではあるけれど、同じような真剣さで、「内側の脅威」とその“発生起源”について我々自身が内省を深めなければいけないのではないかと思わされた。
その内省をも”自粛”したら、ほんとうに惨めなことになりそうだ。