不定期日記

鹿内信善・編著『協同学習ツールのつくり方いかし方〜看図アプローチで育てる学びの力』ナカニシヤ出版

次に読んだのが、これ。
134991
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b134991.html

以前、北海道教育大学におられ、現在は福岡女学院大学で教鞭をとっておられる教育心理学者・鹿内信善さんの編著による『協同学習ツールのつくり方いかし方〜看図アプローチで育てる学びの力』。先日、わざわざ福岡から郵送で献本いただいた。
おとといから昨日にかけて、あっという間、正味数時間で読んでしまった。しかし、受けた刺激は多大。実に多大。自分の活動を足元から見つめ直し、照らし直すことができた。
もちろん、ぼくがこれまで仕事(lifework)としてやりたいと思ってきたこと、またこれからも変わらず深めていきたいと願っていることは、この本の中で提唱されている「学校教育における協同学習の理念を生かした学習機会の提供」そのものではない。ぼくはいま縁あって教育現場で子どもたちと関わり合える機会を多く持てているが、ぼくは教師になりたいわけではない。いわずもがなであるけれど、自分の中の核の部分には、純粋かつ単純に「(森などで)美しいものを観たい。それを写真に撮りたい」という欲求があるだけである。
(蛇足ながら、それだからこそ、ぼくが教育現場で子どもたちと関わり合える機会を多く持てていることには一定の意義と価値があり、またそれがぼく自身にとって幸せなことであり得るのだろうな、とも思っている)
しかし、この正味130ページほどの実践指向の教育書は、ぼくにとって誠に刺激的だった。「見ること(見出すこと)」や「写しとること(描写すること)」「表出させること」、そしてそのそれぞれをより良く深めるために必要となる「問うこと」という、ぼくの仕事の上では字義的にも概念的にも最も大切な要素(意志・能力・行為)について、刺激に満ちた示唆が満載されていた。
「よし、つぎの森の撮影の際にはこの本に書かれている事例をぜひ実践するぞ!」…ということでは、全くない。本書が提唱する活動とぼくの活動とでは、フィールドも目指すべき目的そのものも異なっているので、書かれていることを即実践など出来ようはずもないし、する意味もない。
しかし「ああ、底の部分で、通じている!」と思える。
学者さんという「学ぶプロ」が、フィールドワークを通じて研ぎ澄ましてきた知識や技術や理念には、やはりすばらしいものがあるのだなぁと思った。それを教示され、視界が開かれていく感覚を、うれしさとともに得た。これが「学ぶ喜び」なのだろうか。
いま世で必要とされているのは間違い無く広義の「教育」(育て、育つこと)なのだ、と放言して、今日の日記を結ぼう。