不定期日記

7月の東北関東仕事ツアー報告その1

遅ればせながら、先日の東北関東ツアーの報告。フェリーと自家用車での長い長い旅路でした。
 
■7月5ー9日

5日と6日は、奥入瀬・十和田。奥入瀬渓流ホテルでお客様向けのサービス「森の学校」スライドトークとミニ写真絵本作りWSを開催。
 
夜に行われた「森の学校」では、北海道や蔦の森の写真映像を上映しながらトークしたのち「いろいろはっぱ」を読み語りしました。食後の体操として、みなさんで「ぎざぎざ体操」しましたよ。ぎっざぎざー!
 
トーク後、書籍をお買い上げ頂いた方とあれこれよもやま話をしていたところ、芋づる式にどんどん話がつながり、滋賀県在住の共通の知人の話題に。「えー! 北海道の人と奥入瀬で話をしていて、東近江の○○さんの話題になるとはねー!」とお互い驚くやら嬉しいやら。これも、各地を巡り歩く仕事の楽しみの一つです。
 
翌朝、ホテルのレストランで食事を終えると、隣の席のご夫婦が遠慮がちに「昨夜はありがとうございました」と声をかけてくださいました。ご婦人が「森の学校」トークを聞いてくださっていたとのこと。
 
「今朝、ホテルの早朝アクティビティで渓流散策に参加したのですけど、昨夜「いろいろはっぱ」を聞いていたお陰で、色々な葉っぱが目に入ってきました。“この葉っぱ、昨日の絵本に出てきた!これも、これも!”と夫にも教えたりして、楽しく散策できました」と。
 
ああ、嬉しい! 本当に嬉しい。
 
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
 
奥入瀬渓流ホテルの仕事を終えた後は、近辺の森の撮影。お気に入りの「蔦の森」を二日間ゆっくり散策しました。この時期この辺りを支配する気候“ヤマセ”のお陰で、森はしっとり潤っていました。濡れた森、いいなぁ。大好き。
 
奥入瀬十和田滞在最終日の夜は、いつも世話になっている地元「おいけん・奥入瀬自然観光資源研究会」のメンバーと会食。森や湖のこと、写真撮影のことなど時間を忘れて談笑。
 
ミニ写真絵本作りWSに参加してくれた小学4年生みっちーも参加してくれ、彼女が作り上げたスンバラシイ作品を格好の肴に、嬉しく美味しいお酒をいただきました。みっちー、みなさん、ありがとう!
 
 
■9日ー10日

移動日。次の仕事先の神奈川・東京までひたすら車で南下します。十和田市から東京まではおよそ700km。東北自動車道を使えば約9時間です。でも、今回のツアーの目的の中には「駆け足でもいいから、8年目の震災津波被災地の様子を見ること」がありました。ですので、ひょいと高速に乗ってしまわず、太平洋側のいわゆる浜通りを下道で南へ進みました。
 
久慈を経て、宮古(田老)、山田、大槌、釜石、大船渡、陸前高田へとリアス式海岸の浦々を移動しつつ、まちの様子を車窓から垣間見ました。
 
被災から8年経ち、確かにまちはキレイにはなっていました。浜から離れたところには、高台移転でしょうか、新しい住宅や公共施設などが整然と立っています。でも、海岸線の間近の、あの大津波にまるごとさらわれてしまった区域には、未だに手付かずの開放草地が広がっています。瓦礫の姿こそ見えねど、やはりあの災害がそれぞれの地域に残した痛手が深かったことを感じずにおれません。
 
すでに別の投稿でも言及したとおり、浦々では大きな防潮堤の建設が進められていました。重機の音が響いています。陸側の平場からは、高いコンクリ製の堤に遮られて海の様子が見えません。まるで湾や入り江に、いや、まちそのものに大きな「蓋」を閉めようとしているかのようです。その蓋が、地域に住む人々の心にも蓋をしてしまわないといいなぁ……と思いました。無責任な物見遊山訪問者の勝手な思い込みでしかありませんが。
 
ここでもやはり、今春、帯広の中学校の修学旅行同行撮影の際に耳にした南三陸の被災地ガイドさんのことばが脳裏に蘇りました(以前の投稿にも載せましたが、大事な言葉なので再掲します)。
 
「震災や津波も大変でした。わたしも、家や家族を失いました。でも本当に大変なことはその後にやってきました。地域から人がどんどんいなくなってしまうのです……」
 
「復興」という漢字二文字で全てを引き受け前に進んでいくには、やはりあの震災は、残したものが大きすぎるのかもしれません。
  
陸前高田を発ち気仙沼にさしかかったあたりでついに日没近い時刻になっていました。先を急がねばなりません。そこからは高速道路を使って一気に南下することにしました。
  
宮城から福島を貫いて首都・東京へと至る夜の高速をひた走りながら、太平洋側の海岸線の町々のことを想像します。浪江・双葉・大熊あたりでは、町あかりが消えて久しい漆黒の闇の中、東京電力福島第一原発の作業ライトの明るさだけが、低く垂れ込めた雲に反射して薄ぼんやりとまちと海を照らしているのだろうな–––––。ああ、いまぼくが本当にやらなきゃならないことはなんだろうな–––––。ハンドルを握りながら、あれこれ考えました。
 
 
■10日

午前中、神奈川の実家に到着。タイミングよく、その日、千葉から叔母と従兄弟も神奈川へ出かけてきてくれるというので、母と一緒にお出迎え。久々に会う親戚とひととき楽しい時間を過ごしました。
 
 
■11日

この日は、ここ数年来恒例となった都内某私立小学校での写真活用授業の講師。今年は小学2年生と。iPadで写真を撮って級友と一緒に「写真絵本」を作ってみよう、という内容。
 
今年の子どもたち、これまでに増して元気いっぱいで、かつ、ほんとうに“自由”な人たち(笑)。授業冒頭から不規則発言ぼくへの質問が多発するので(笑)、内心〈おーい!まずは人の話をよく聴こうぜ!〉と叫びたくなりました。しかし一方で〈いやいや、オトナの話にただ素直におとなし〜く聞き従うようなニンゲンに、本当にいい写真なぞ撮れるものかよっ!〉と思う自分もいて、結局は子どもたちのパワーと感覚に委ねることに。
 
結果、よかった。いい写真撮ってるぜ、子どもたち。いいじゃん、いいじゃん。
 
残念ながら時間内に写真絵本を仕上げることはできなかったものの、それは担任の先生の夏休みの宿題ということにさせてもらいました(ごめんね、K先生。笑)。
 
子どもたち、これからもその調子で、元気いっぱい自由いっぱい、美しい世界へ突っ込んでいけー! また会おう!
 
・・・・・・・・・・・・
 
ツアー報告、次回へ続く。